図にあるように、約10%弱は、管理費の一定割合を修繕積立金としてますが、約80%は長期修繕計画における必要額から算出され決定されています。
将来(25年~30年)の大規模修繕工事やその他工事における必要経費を予算化し、この予算額を積み立てるには、毎月いくら積立金として徴収するかを決定します。
国土交通省により作成された「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(平成23年)」によると、積立金額の平均額は、図のようになります。
例えば、10階建て、建築延床面積が8,000㎡のマンションの専有床面積80㎡の住宅の場合は、
平均値 :80㎡ × 202円/㎡・月 = 16,160円/月
目安の幅:80㎡ × 140円/㎡・月 = 11,200円/月
から 80㎡ × 265円/㎡・月 = 21,200円/月
までとなります。
また、機械式駐車場がある場合の加算額は、例えば、2段(ピット1段)昇降式の機械式駐車場が50台分あり、
専有床面積が80㎡で、マンション全体の専有床面積の合計が6,000㎡の場合は、
7,085円 × 50台 × 80/6,000 = 4,723円 となり、この金額を上記の金額に加算します。
但し、この目安を見る上での注意点が2つあります。
1つ目は、これは新築当初から均等に集めていく場合の金額だという点です。 すでに築後10年、20年を過ぎている場合は、そのままでは目安にはなりません。 今まで低額だった分を上乗せすることが必要になります。
2つ目は、新築から30年間としており、2回目の大規模修繕までしか見込まれていない金額だという点です。
一般的に大規模修繕は12年毎に計画されているので、3 回目の大規模修繕は築後36年前後になります。
3回目の修繕は工事項目が多いため、費用も1回目の比ではありません。
「200円/㎡前後」という目安は、既存のマンションがそのまま受け取って安心できる金額ではないので注意してください。
修繕積立金の積立方式には、長期修繕計画の計画期間中均等に積み立てる「均等積立方式」と当初の積立額を抑えて段階的に値上する「段階増額積立方式」があります。
殆どのマンションでは、分譲時に修繕積立基金の一時金の徴収を併用した「段階増額積立方式」が採用されています。上記の図では、5年毎に値上げされる予定となっています。
新築分譲時の修繕積立金は、上記の目安の額よりかなり安いです。殆どのマンションが100円以下/㎡・月ではないでしょうか?
これは、分譲会社が販売しやすくするために、わざと安めの設定をしているからです。
購入者は、毎月のローン返済額・管理費と修繕積立金の合計額が支払い可能な額に収まるかどうかに注目します。
そこで、管理費・修繕積立金の額を極力低く設定しようとするのですが、管理費については、分譲会社の系列会社である管理会社の収益源となるため、安くは設定できません。
そこで、当面は必要とならない修繕積立金の初期設定額を段階的増額を見越して低く設定しているのです。
また、長期修繕計画内容も細かく予算化せず、粗い計画予算となり、低めの予算額となっています。