マンションに入居してから、管理組合が毎月徴収する費用があります。
区分所有者が共通して負担する費 用としては、マンションの共用部分全体の管理に要する費用(管理費)と共用部分の将来の修繕に備えて積 み立てている修繕積立金があります。
そのほか、駐車場や専用庭を利用していると、その使用料が掛かるこ とがあります。
管理費は、管理会社への委託費や共用部分の光熱水費、保守や小修繕等、日々の管理に要する経費を賄う ものです。
これらの費用の掛かり方は、マンションの設備や共用部分の管理の水準に比例するものですので、 マンションごとに異なります。基本的に、年間の経費を賄うように徴収額が決められていますので、順調で あれば追加徴収されることもなく、大きな余剰金も発生しない額になっているはずです。
実際のところは、少し高めに設定されている場合が多いようです。
修繕積立金は、将来予想される管理組合が行う共用部分の計画修繕の費用を賄うものです。
建物は経年に より物理的にも劣化するので修繕が必要になりますし、建物の機能を新築当時から向上させようとすると、 改善も必要になります。
その経費は、毎年同じように支出されるものではなく、ある時期にまとまった額が 必要になります。もちろん、その時々に必要な額を区分所有者から徴収する方法もありますが、将来的に必 要となる額を計画的に積み立てておくことで、必要な時期に必要な工事が円滑に実施できることになります。
修繕積立金の額は、将来どういう修繕工事が必要になるかということを検討した長期修繕計画 (※1) に基づい て決まってきます。25 年とか 30 年先までに推定される工 事費総額を賄うように積み立てていきますが、注意しなけれ ばいけないのはその積立て方式です。
初めのうちは低額にし ておいて、将来何倍にも増額することを前提とした積立て方 式をとっていたり、多額の一時金を徴収することを予定した りしていることがあります。
修繕積立金の毎月の徴収額を改 定したり、一時金の徴収をするには総会の決議が必要になり ますが、大幅な値上げをしたり、多額の一時金を徴収するこ とについて区分所有者の合意を得ることは難しいことが多く、 想定していた値上げができず修繕費用が不足するといった事 態が生じるおそれがあります。
徴収額を段階的に値上げすることを想定されて、低めに設定されているケースがほとんどです。
購入時点で修繕積立金が安い からよかったというものではないことに注意が必要です。
将来想定される補修・改修の工事費を推定し、必要額を算出した計画です。
部位ごとに、想定される修繕の周期がありますので、 それに基づいて、25 ~ 30 年程度先までの修繕工事の予定を立て、その推定工事費を見積もります。あくまでも計画ですので、 実際に修繕するかどうかは、そのときの劣化状況の調査・診断結果で判断します。劣化したものの補修費用しか見込んでおらず、 グレードアップ等の改修工事の費用は想定していない計画も多いので、注意が必要です。
国で長期修繕計画作成ガイドラインという指針を作成していますので、それを参考にすると理解しやすいと思います。