子供さんが新社会人となったこのタイミングでご親戚やお知り合いから子供さんご本人の生命保険や医療保険の加入を勧められたりしていませんか?
「若いので保険料もそれほど高くないので、本人に勧めてみるか・・・」とお考えなら、保険加入の前にやっておくべきことがあります。
日本人は生命保険が大好きです
「2018年 生命保険に関する全国実態調査(速報版)より
(公財)生命保険文化センターでは、3年ごとに調査を実施しています。2018年実施の調査によれば、
- 生命保険(個人年金保険含む)の世帯加入率は88.7%で前回調査(2015年)とほぼ同水準でした。
- 29歳以下の世帯加入率は72.2%で前回調査から8.4%も増加しました。
- 医療保険の世帯加入率は88.5%で前回調査とほぼ同水準でした。
- 世帯年間払込保険料は38.2万円で前回調査とほぼ同水準でした。
月間払込保険料は3.2万円弱となります。
ちなみに、2009年の世帯年間払込保険料は45.4万円で2018年調査より、7.2万円も多かったようです。
また、友人・知人・家族・親類からの情報入手は20.2%と前回調査とほぼ同水準でした。
学生納付特例の追納とは
ところで子供が学生のころ、国民年金の学生納付特例制度を利用していませんでしたか?
国民年金は20歳になると加入して保険料を納めなければなりません。
保険料は2020年度の場合、16,540円/月です。
本人所得が118万円以下の場合、申請手続きをすれば、保険料納付を猶予してくれる制度です。多くの学生が利用していると思います。
免除ではなく猶予です
但しこの制度はあくまで、保険料納付の猶予で免除ではありません。将来受け取る老齢年金の金額には反映されません。
老齢年金額を増やすために追納することができます。追納できる期間は猶予された月から10年間です。10年過ぎると追納できません。
国民年金は20歳~60歳迄の40年間(480ヶ月)欠けることなく保険料を納めたら満額の年金額が受け取れます。未納月があれば、それに応じて年金額が減額される仕組みです。
※2020年度の満額年金額:781,700円です。
例えば、大学院などに進学して4年間(48ヶ月)保険料納付を猶予されていたとしたら、年金額は1/10減額され、満額の9/10の年金額しか受け取れません。
10年で元が取れます
国民年金は65歳から受給できますが、10年年金を受給すれば元が取れます。
4年間(48ヶ月)分の保険料を追納するとしたら
16,540円/月 × 12ヶ月 × 4年間 = 793,920円 の保険料となります。
※一括で追納する必要はありません。月々でかまいません。
追納の結果、増額される年金額は78,170円/年ですから、10年間で
78,170円/年 × 10年間 = 781,700円 となり、追納した保険料とほぼ同額となります。
老齢年金は終身年金ですから、後は長生きすればするほど得することになります。
追納しなかった場合と比較すれば、その差額はかなりのものなります。
しかも追納保険料は全額所得控除されます
国民年金保険料は全額所得控除されます。
例えば子供本人が保険料12ヶ月分を追納したとして、所得税率が5%、住民税率が10%だったとすれば、
16,540円 × 12ヶ月 = 198,480円
198,480円 × 15% = 29,722円
29,000円ほどの節税が期待できます。
本人に代わって親御さんが保険料を支払った場合でも、同じく全額所得控除されます。
先ずは、国民年金の追納を
生命保険や医療保険に入るお金があるなら、先ずは、学生納付特例制度により猶予された保険料を追納しましょう。