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20代、30代の子供を持つあなたへ

老後資金が不安なら、資産運用その前に

世の中を騒がせた「老後資金2000万円」問題。「そんなに多額のお金が必要なの!」と驚いた人もいるかもしれません。

 

さっそく、効率のよい資産運用方法をあれこれ検討を始めた方もいるかもしれません。

 

でもよく考えてみてください。65歳まで働き、老後の生活が95歳までの30年間で、毎月の生活費が20万円だとしたら、20万円×12カ月×30年で7200万円という計算になります。必要なお金は2000万円よりずっと多いのです。 それなのになぜ2000万円ですむのかといえば、差額の5200万円は公的年金として国から支払われるから。

 

「国の年金はあてにならない」とか「公的年金はいずれ破綻する」などといわれているのを見聞きすることがあるかもしれませんが、これらに根拠はありません。公的年金が破綻するなら、そのずっと前に私的年金は破綻している筈です。雑誌やネットのニュースはネガティブな見出しのほうが人目を引きやすいので、そうやって不安をあおっているところ大です。

 

老後の生活を支えてくれるのは、公的年金がなんといっても一番の柱です。まずは公的年金を増やすことをやってから、その後余裕があれば、資産運用を考えましょう。

国民年金と厚生年金

公的年金は2つあります。1つは20歳から59歳までの人が全員加入して保険料を払う1階部分の国民年金、もう1つは会社員などが加入して勤務先と半分ずつ保険料を払う2階部分の厚生年金です。 国民年金から受け取る年金の額は、国民年金に加入していた月数に応じて決まります。最長480カ月で、480カ月分保険料を払った人が65歳から受け取れる年金額は約78万円(2020年度価格)です。 会社員などで厚生年金に加入している人は、国民年金に上乗せして厚生年金からも年金が受け取れます。厚生年金から受け取る年金額は、厚生年金に加入していた月数と、その間に受け取った給料・ボーナスの額によって決まります。長く加入していたほど、また加入期間中の給料・ボーナスが多いほど、受け取れる年金額が多くなります。

公的年金を増やす

1)厚生年金に加入する働き方をする

 

パートタイマーなどは国民年金からしか年金が受け取れず、老後資金の面でかなり厳しいものがあります。なので、厚生年金に加入する働き方のほうが望ましいといえます。正社員ならもちろんOK。パートタイマーでも厚生年金に加入できる条件がだんだん下がっているので、働く時間を長くするなどして厚生年金に加入すれば、年金額が増えるだけでなく、収入がアップして家計にゆとりができます。

 

2)収入を上げる

 

厚生年金は給料・ボーナスが高いほど保険料が高く、払った保険料が多いほど受け取れる年金額が多くなります。ですから、資格を取得したりスキルを磨いたりして収入を上げれば、年金額もアップします。

 

3)長く働く

 

厚生年金は加入していた期間が長いほど年金額が多くなります。なので、出産・育児、介護などでキャリアを中断させないことが年金を増やすことにつながります。また、60歳以降あるいは65歳以降も働いて厚生年金に加入すれば、そのぶん年金額が増えます。

学生納付特例の追納も

ところで子供が学生のころ、国民年金の学生納付特例制度を利用していませんでしたか?

 

国民年金は20歳になると加入して保険料を納めなければなりません。

保険料は2020年度の場合、16,540円/月です。

 

本人所得が118万円以下の場合、申請手続きをすれば、保険料納付を猶予してくれる制度です。多くの学生が利用していると思います。

但しこの制度はあくまで、保険料納付の猶予で免除ではありません。将来受け取る老齢年金の金額には反映されません。

 

老齢年金額を増やすために追納することができます。追納できる期間は猶予された月から10年間です。10年過ぎると追納できません。

 

国民年金は20歳~60歳迄の40年間(480ヶ月)欠けることなく保険料を納めたら満額の年金額が受け取れます。未納月があれば、それに応じて年金額が減額される仕組みです。

 

※2020年度の満額年金額:781,700円です。

 

例えば、大学院などに進学して4年間(48ヶ月)保険料納付を猶予されていたとしたら、年金額は1/10減額され、満額の9/10の年金額しか受け取れません。

 

この猶予された保険料を追納しましょう。

10年で元が取れます。保険料は全額所得控除

国民年金は65歳から受給できますが、10年年金を受給すれば元が取れます。

 

4年間(48ヶ月)分の保険料を追納するとしたら

16,540円/月 × 12ヶ月 × 4年間 = 793,920円  の保険料となります。 

 

※一括で追納する必要はありません。月々でかまいません。

 

追納の結果、増額される年金額は78,170円/年ですから、10年間で

78,170円/年 × 10年間 = 781,700円 となり、追納した保険料とほぼ同額となります。

 

老齢年金は終身年金ですから、後は長生きすればするほど得することになります。追納しなかった場合と比較すれば、その差額はかなりのものなります。

 

しかも、国民年金保険料は全額所得控除されます。