大規模修繕工事周期12年は間違い!?

大規模修繕工事は12年毎に行うものというのが、定説のようですが、本当のところどうなんでしょうか?

 

数千万円~数億円レベルの費用が必要とされる大規模修繕工事です。多くのマンションでは修繕積立金不足のため、計画通りに実施できていないマンションが多いようです。野村不動産の調査では築24年~築28年マンションでは、約60%が計画通りに実施できていないそうです。

 

もし実施周期を伸ばすことができれば・・・

2021年2月マンション管理会社の東急コミュニティーでは、大規模修繕工事の周期を最大18年に延長する長期保証商品「CHOICE」を発表しました。大規模修繕工事で用いる仕様・工法等の工夫により、防水、塗装など建物の外装に関わる工事の保証期間を従来に比べ1.5倍~2倍に延長するものです。これにより従来12年と言われる大規模修繕工事の周期を最大18年に延長することができるそうです。

 

そうすることで、4回であった実施回数を3回に削減できることができ、数億円レベルのコスト削減が可能となり、修繕積立金の上昇を抑制することができます。

 

また、住みながら工事となり、足場とネットで覆われて生活するという不便からもその分開放されます。

 

同様の試みは、管理会社の野村不動産パートナーズからも2017年10月に発表されています。一般社団法人マンション大規模修繕工事協議会では大規模修繕工事を15年周期とするプロジェクトが施工業者サイドからも数年前から始まっています。

都市伝説(大規模修繕工事12年説)

新規分譲時に分譲会社・管理会社から管理組合に配布される長期修繕計画には12年毎に大規模修繕工事が組み込まれています。

 

この長期修繕計画作成業務が管理組合が行うべき業務となったのは、1997年からです。比較的最近のことです。

 

12年というのは、国土交通省が出している「長期修繕計画作成ガイドライン」に従っています。そこには次のように記述されています。

 

===<作成ガイドラインコメント>===

 

計画期間は、新築マンションの場合は、30年以上とし、既存マンションは25年以上とします。

 

外壁の塗装や屋上防水などを行う大規模修繕工事の周期が12年程度ですので、見直し時には、これが2回含まれる期間以上とします。

 

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12年周期はあくまでガイドラインです。国土交通省もガイドライン作成時には、管理会社の意見も参考にしています。大規模修繕工事を受注するのは多くの場合管理会社です。ですから管理会社は短い方を望みます。

 

12年毎にやらなければならない技術的理由はどこにもありません。

 

 

大規模修繕工事を行っているオフィスビル・商業ビルはあまり見かけません。学校などの公共施設でも見かけません。同じマンションである賃貸マンションで見かけません。分譲マンションだけが頻繁に行われているようです。

 

建物の立地や利用状況などによて必要な修繕周期は個別に違います。

 

 15年から18年毎に行うことで十分です。

 

50年~60年の期間で考えれば、1回減らすことができ、数億円レベルの費用削減ができるのです。

 

15年~18年周期は何故、広まらないのか

理由は大きく2つあります。

 

一つ目は、業界(管理会社・施工会社)として、おいしいビジネスモデルは壊したくない。12年毎に安定して億円規模の仕事が受注できるのですから、なかなかやめらない。

 

2つ目は、周期を伸ばした分、その間の品質保証をどう実現するか

提案できる技術をもった会社が少ない。今までどおりのやり方の方が安心で取り組み安い。

 

しかし、変化も始まっています。

 

東急コミュニティーや野村不動産の動きにあるように、周期を長期化する試みが始まっています。

 

これは、一つには、大規模修繕工事の自社受注への囲い込みを図るという側面もあるのではないかと推測します。

 

そして、もう一つは、住人の高齢化とそれに伴う資金負担能力の低減で修繕積立金の値上げや一時金の追加徴収が困難になってきているという現実です。

一旦立ち止まって考えてみましょう

大規模修繕工事を管理会社に言われるままに行う必要はありません。特に1回目の大規模修繕工事は実施時期が12年目から15年前後に延期されても大きな問題は発生しません。

 

長期修繕計画を見直して下さい。できれば計画期間は築60年迄の超長期修繕計画を作成してみて下さい。

 

60年間でいくらの予算額が必要となるのか?

そのためには、修繕積立金をどう値上げしなければならないのか?

修繕周期を12年から、15年や18年とした場合は予算額はどう変わるのか?