大規模修繕工事談合疑惑その1

マンション大規模修繕工事での談合疑惑を巡り公正取引委員会が2025年3月4日に長谷工リフォームなど約20社に立入り調査を実施した。

 

4月23日には、新たに大京穴吹建設のほか三井住友建設グループのSMCRなど数社にも立入り調査を実施した。

 

これにより疑惑の対象が30社超に拡大した。

 

関東地方のマンション管理組合が発注した大規模修繕工事の見積もり合わせや入札で事前に受注決定社を決定するなどしていた疑いが持たれている。

 

関西の工事会社にも調査が入ったとの情報もある。

 

これとは別に機械式駐車場の設置を巡っても公取は3月24日、大手8社に独占禁止j法違反を認め、内4社に総額5億2000万円の課徴金納付命令を出している。

 

マンション修繕工事談合疑惑の構図

公取委が調査のターゲットにしているのは「設計監理方式」 と呼ばれる発注方法だ。

 

設計コンサルが工事会社の選定を任され ているケースが多い。国交省の調査によると、マンション修繕工事の発注方式の8割を占める。

 

住民らでつくる管理組合は修繕工事のノウハウを持ち合わせ ていない。本来であれば、設計コンサルに任せることでチェック 機能が働くはずだが、実際には設計コンサルがつながりの深い工事会社に便宜を図る慣習が長く続いてきた。

 

国交省が2017年にマンション管理組合関連の団体に出した通知 では、一部の設計コンサルがバックマージンを受け取り、特 定の工事会社が受注できるよう工作しているとして注意を促 してきたが、あまり改善されなかった。

 

結果として、マージンが上乗せされ工事費が高等する。

この仕組みは、 関東地方だけでなく全国で同様のことが行われている。

立ち入り調査実施の背景

国土交通省の2023年の調査によると、長期修繕計画に対して修繕積立金が不足しているマンションは36.6%、 不明なマンションは23.5% 。不足と不明を合わせると60.1%で 余剰のあるマンションは39.9%しかな い。

談合によって修繕費が高止まりすれ ば、修繕積立金の不足に拍車がかかることになる。

 

一方で、築40年以上のマンションが今後10 年、20年で2.0倍、3.5倍と急増する。

 

修繕積立金が不足して適切な修繕が 実施されないと建物設備が急速に老 朽化して管理不全マンションが一挙 に増えて、社会(行政)的コストが 増大する 。

 

今回の公取の調査の背景には、この ような事情も影響しているものと思 われる。


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