住宅品質確保法とは?

正式名称は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で平成12月4月1日に施工されました。略称「品確法」と言われます。

 

いわゆる欠陥住宅に関するトラブル防止のために制定されました。

 

戸建て住宅だけでなく、もちろん分譲マンションも対象です。

目的(法第1条)

住宅の性能に関する表示基準及びこれに基づく評価の制度を設け、住宅に係る紛争の処理体制を整備するとともに、新築住宅の請負契約または売買契約における瑕疵担保責任について特別の定めをすることにより、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的としている。

 

要するに欠陥住宅に関するトラブル防止のために、下記3点を法制化しました。

 

①住宅性能表示制度の設立

 

②紛争処理体制の整備

 

③瑕疵担保責任の特例化

 

①住宅性能表示制度の設立

住宅性能を契約の事前に比較できるように、性能の表示基準を設定するとともに、客観評価できる第三者機関(指定住宅性能評価機関)を設置して住宅の品質の確保を図る制度です。

 

尚、この制度は任意の制度であり、利用するかどうかは、住宅取得者や住宅供給者に任されます。

 

 

評価の結果は、「住宅性能評価書」としてまとめられ、申請者に交付されます。

 

また、当初は新築住宅だけが対象でしたが、平成14年8月20日に法律改正され、既存住宅への適用も開始されるようになりました。

 

②紛争処理体制の整備

性能評価を受けた住宅に係るトラブルに対しては、第三者的な立場の弁護士、建築士などによって構成される指定住宅紛争処理機関を整備し、紛争処理の円滑化、迅速化を図ります。

 

紛争処理機関により紛争処理は、当事者の双方または一方の申請により開始され「斡旋」「調停」「仲裁」が行われます。

 

③瑕疵担保責任の特例

隠れた瑕疵とは、通常の人の注意力では発見することが困難な、通常有すべき品質・性能を有しないことを意味します。

 

瑕疵担保責任とは、売買の対象物件に隠れた瑕疵が存在する場合に負わなければならない売主の責任のことです。売主は故意や過失がなくても責任を負わなければなりません。

 

民法では、買主が瑕疵を発見した時から1年以内に請求すれば良いことになっています。ですから引き渡しを受けてから5年経過後、8年経過後でも瑕疵を発見してから1年以内に請求すれば良いことになります。

尚、瑕疵担保による損害賠償請求権は引き渡し時から10年経過で時効消滅します。すなわち請求できなくなります。

 

売主としては、特約を設けて、瑕疵担保責任を回避しようとしますが、宅建業法では、マンション販売会社などが、下記特約を除いて民法の規定より買主に不利となる特約を無効として買主保護を図っています。

 

●瑕疵担保責任追及可能期間を引き渡しから2年以上とする特約

(例えば、引き渡し後2年とか3年とか)

 

ところが、欠陥住宅多発の問題が起こりましたが、2年以上経過後の瑕疵発覚であった為、買主は瑕疵担保責任を売主に請求できないという問題が発生しました。

 

そこで、基本構造部分(柱や梁などの住宅の構造耐力上主要な部分、屋根や外壁などの雨水の侵入を防止する部分)については、引き渡しから10年間、瑕疵担保責任を負うことが義務付けされました。

 

但し、新築住宅のみ適用され、中古住宅には適用されません。

なお、新築住宅とは、完成後1年以内で一度も人が住んでいない住宅を言います。