AERA2017年5月29日号で、限界マンションについて特集を組んでいます。
住環境も整った一等地にある最寄り駅から徒歩4分にある9階建ての分譲マンション。廊下や階段の共用部は「ごみ置き場」と化していた。使わなくなったベッドマットや炊飯器、椅子、靴などが無造作に置かれたまま。廊下の電気が消えているフロアもあり、エントランスには、住民の自転車が放置されていた。
完成当初からマンションの一室に暮らす女性(80代)は、不安を隠せない。
「ひびが入って今にもコンクリートがボロボロ落ちてきそうな所が一杯あるんです」
他人事ではない「限界マンション」
AERAの記事になっているマンションは、特別な事情があって「限界マンション」となっている訳ではありません。築35年以上の旧耐震基準で建てられたマンションが対象で、新耐震基準で建てられたマンションでは、このような事にはならない訳でもありません。
区分所有者がマンション管理に無関心で、管理会社に丸投げで、管理組合が形骸化しているマンションであれば、10年後、20年後、30年後には必ず直面する問題なのです。
スラム化してからでは遅い!
建物と住民の「2つの老い」。建物は老朽化して修繕されずに放置され、住人は体力も経済力も低下して、気力も失い。新規購入者も現れず、相続もされず、空き住戸も増えて、スラム化が進行する。
スラム化(限界マンション化)してからでは、立て直しは困難です。
区分所有者がマンション管理に関心を持ち、自分たちの住むマンションの将来ビジョンを共有することから始める事が大事です。
マンション管理にはリーダーが必要です。
アメリカのマンションでは、管理組合が直接、現場駐在マネージャーを雇用し、マネージャーが管理組合の立場でサポートし、理事会の意思判断で、清掃、点検、補修などの業者選定を行うなど、マンション管理会社に部分的なサポートを行わせる体制となっているそうです。
知識も経験も時間もない区分所有者達が独力で行うのは、やはり、無理があります。
ですから、知識も経験も時間もある専門家であるマンション管理士がリーダーとなり、将来ビジョンを共有しながら、目前の課題を一つ一つ解決していく地道な対応が必要です。
●他人事ではないマンション管理問題 建物と住人の「2つの老い」と「無関心」