管理組合は本当に必要か?

川崎市が実施した「マンションにおけるつながりづくり支援事業」の報告書が川崎市のホームページに公表されました。

 

それによると、居住者同士の付き合いに関して、

・入居者同士の交流がさかん(4.8%)

・あいさつする程度(41.3%)

 

と居住者間のつながりが薄くコミュニティー形成に対する関心が低い状況が再認識されてます。

 

総会への出席率も低く、輪番制で回ってくる役員を辞退するなど理事会役員の成り手にもこと欠く状況で、理事会役員となっても一度も理事会に参加しないまま任期を終える役員も、ちらほらいて、金を払ってるんだから、管理会社に任せておけば良いという風潮が一般的です。

 

管理組合という形式的なものは、いらないのではないでしょうか?

 

管理組合は運命共同体です。

ちょっと、大げさに聞こえますか?

 

でも、ちょっと想像を膨らませれば、まさしくそのものなんです。

 

例えば、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など災害が起きた場合、分譲マンション管理組合の日頃のコミュニティーの成熟度の違いで、災害発生直後の対応の仕方は全然異なってきますし、建物に大きな被害を受けた場合、その復旧をどうするのか?

 

修繕するのか?、建て替えるのか?、話がまとまらずに、時間だけが経過する。一戸建てとは違い自分ひとりだけでは、決められない。みんなの合意が必要になります。

 

災害でなく、築40年、50年と経過して老朽化した場合も同じです。

修繕(リノベーション)をほどこして、100年、200年マンションとするのか?

建て替えるのか?更地化等して売却するのか?

 

住人も多くは高齢化して、年金生活となり収入も少なくなる中、どう対応していくのか?これらを合意を得ながら進めて行かなければなりません。

 

これら合意は、管理組合自身が決めていかなければなりません。

当たり前のことですが、管理会社は、決めてくれません。 

 

コミュニケーション不足とゴミ屋敷化

東洋経済オンラインの記事(2018/4/23)です。

 

東京ミッドタウンから歩いて数分。築40年の現在も億を超える金額で取引されるマンションで昨夏、異臭騒ぎが起こった。

 

100㎡超の住戸に1人暮らしをする70代女性の住戸がゴミ屋敷化し、エレベーターを降りた途端に臭いに気づくほどの状況になっていたのである。

 

虫も発生しており、同じフロアの住民からの訴えで管理組合の理事長以下何人かが繰り返し接触し、ゴミの廃棄を呼びかけたが、彼女はそれを拒否。当初は話し合いでの解決を目指していた管理組合も現在は弁護士に依頼し、法的な措置を検討しているという。

 

『「表には出てきてはいないものの、すでに総会が成立しない、管理組合が機能していないマンションがあるのでは」とマンション等の維持管理コンサルを主業務とするKAI設計の菅純一郎氏は懸念する。

 

菅氏が懸念を抱くようになったきっかけは、3年前に行った江戸川区にある築45年、全309戸のマンションの大規模修繕。外観だけなら手入れが行き届いて見える同物件だが、入居者の平均年齢は71歳。総会案内を認識できない人、杖、車いすがなければ総会に参加できない人も多かった。幸い、そのときには決議に必要な過半数ぎりぎりの参加(委任状含む)で可決できたが、次に何かを決議するとしたら総会自体が成立しないだろうと菅氏は話す。

 

高齢化の進展がマンションを内部から蝕み始めているわけだが、物件によってはそれを加速させるマイナス要因を抱えていることもある。その要因は大きく2つ。ひとつはコミュニケーション不足による居住者の孤立だ。

 

高齢独居男性の家が「ゴミ屋敷化」するケースは少なくない(写真は別のマンション、筆者撮影)

 

同マンションでは、共用の排水管が各住戸のトイレの奥に敷設されていたため、専有部に立ち入る必要があった。そこで全戸を訪問した菅氏が出会ったのは70代の孤独死予備軍ともいえる引きこもりの男性数人。住宅ローンは完済、年金もあって経済的には困っていないものの、妻に先立たれ、周囲との付き合いはまったくない。

 

どの部屋もコンビニの弁当殻やビールの空き缶、焼酎の空きボトルが積まれたゴミ屋敷状態で靴を脱ぐのもためらわれるほど。これまでも年に1人くらいは孤独死があったというが、今後は加速する可能性がある。』

『付き合いがないだけでなく、居住者名簿もないため、居住者が所有者か、賃貸人かがわからない。当然、相続人の有無や所在もわからず、亡くなった後に所有者不明となるケースは容易に想像できる。

 

相続人がわかる場合でも相続放棄されたり、管理費などを払わないまま放置されるケースはあるが、所有者不明はよりシリアス。ゴミを片付けられないまま、管理費・修繕積立金の滞納が続くのだ。きれいに清掃された廊下と扉一枚を隔てて廃墟化が進展していると想像すると、マンションの先行きへの不安と同時に孤立の深さに身が震える。』

もうひとつのマイナス要因、区分所有者の無関心

静岡県のあるマンションは2年前に臨時総会で解任した管理者と称した男Aに対し、約20年間分の使途不明の管理費6600万円余と、彼が所有していた3室の未払い管理費480万円などの支払いを求める裁判で係争中である。1984年に竣工した同マンションは当初、分譲会社が管理に当たっていたが、翌年に同社が倒産。区分所有者が自主管理を行うことになり、管理者となったのがAだった。

 

ところが

 

徴収した月額約32万円の管理費のうち、共用部の電気代約4万円を除いてはほぼすべてAが着服していたようで、大規模修繕はおろか、消防設備点検や受水槽の清掃、エレベーターの日常定期点検なども一度も行われていなかった。管理組合の総会も分譲会社倒産後に1回だけ開かれたようだが、その後は一度も開かれていない。30年余間、まったく手の入っていないマンションがどうなったか、想像できるだろうか。エレベーターは止まり、一部の外壁ではコンクリート内部の鉄筋がむき出しで、各部屋のドアは錆びだらけ。受水槽や汚水桝は悪臭を放っていたという。さすがにおかしいと疑問を抱いた一部の区分所有者がマンション管理士のB氏に相談。「Aが悪いのはもちろんですが、管理に無関心のまま、Aにすべてを丸投げしてきた区分所有者にも責任があります」とマンション管理士のB氏。

 

避けて通れない、建物の老朽化対策

さらにもう1つ、マンションを内部から崩壊させるものがある。それが建物の老朽化で、特に問題は給排水だ。定期的に大規模修繕を行っていても築30年前後になると専有部からの漏水が始まり、次第に拡大し、収拾がつかなくなることがあるのだ。

 

なぜか。簡単である。大規模修繕は外壁や防水、塗装など建物を中心に行われ、その対象は共用部分である。専有部の漏水は大規模修繕の対象外だ。だが、放置しておくと階下に影響が出て人間関係がこじれる。外装はきれいでも漏水する物件では資産価値も下がってしまう。

そこで管理組合が全体の資産価値維持のためとして工事をするのだが、管理組合には専有部のみの工事はできない。結果、共用部のバルブを15万円で交換するのにあわせて専有部の給排水を1億円で工事するといったいびつな形を取ることになってしまう。それも、できればまだマシだ。築30年前後といえば、2度目の大規模修繕を終えた頃。修繕が終わった途端に漏水が始まっても、修繕費用が底をついている、ということもある。

 

1980年に建てられた大田区の全100世帯のあるマンションでは、毎月2世帯が新たに漏水するような状況だが、工事費用がない。そこで仕方なく組合が入っている保険を援用し、補填していたが、あまりに頻繁だったため、適正な利用でないことが発覚。保険金が出なくなってしまったという。

やっぱり管理組合は必要です。

このように、マンション生活において、管理組合の役割は大変重要です。

 

地域の自治会以上に運命共同体的要素がはるかに大きいものなのです。

 

管理組合が機能しているか事が、災害等の発生時はもちろん、そうでない時も居住者の高齢化・建物の老朽化が進むほどに大事になってきます。

 

早い段階から、より良いコミュニケーション形成に向けて、日々情報共有していく試みをしていくこと。これがポイントです。