
「管理委託契約の更新辞退申し入れ」「管理委託契約の解約申し入れ」昨年8月、住友不動産建物サービスは、管理業務を受託する一部の管理組合に、こんなタイトルの文書を社長名で送付していました。
今年の5月に、facebook「これからのマンション管理方式」でこのような動きがあることをご紹介していましたが、そのことに関する記事が<マンション管理新聞>に掲載されましたので、内容をご紹介します。
概要は、こうです。
管理委託費の値上げ要請と管理委託契約の更新辞退(解約)を申し入れたとのことです。
解約を通知した物件は全受託物件の1割に及び、値上げ要請は基本的に「解約以外」の全物件を対象に行ったようです。
人手不足・人件費高騰・不採算物件の増加・・・
現場スタッフ(管理員・清掃員)をはじめとしたの人手不足が続いており、安定的に良質な人材確保が非常に難しい」ことを理由として申し入れています。
現場スタッフとして採用の主力となる60歳代が集まらず、新規受注もままならないという声も多く聞きます。
管理員の定年延長、募集採用限度年齢の引き上げなどの対策をとっているが、十分な効果が出ていないようです。
働きたい高齢者は増えていますが、時給も低く、勤務時間も短いとなれば、高齢者が求める手取り額に手が届かないため、なかなか人材確保が困難な状況は変わらないと思います。
現場スタッフが不足すれば、その分、フロント社員にも負荷がかかり、疲弊して、本来業務品質が下がるという懸念もでてきます。
同業他社は一定の理解
辞退を受けた物件の公募に参加した同業他社によると、「よくこの金額で今までやっていたなと感じるものばかりだった」と驚いている。
「お荷物になっている管理組合を切りたい。と感じることはある」
「だが、実際にはなかなか切れない」
「親会社の新規供給物件が減っているため、管理受託規模を減らすリスクに配慮するから・・・」
「管理物件の放出は、英断だと感じる」
「これまで『どんな案件でも抱えていないといけない。管理組合の無理な要求にも応じないといけない』とする風潮があった管理業界に一石を投じた」
こんなことを言う人も
「住友不動産」は5年連続で、全国・首都圏で供給戸数1位の実績を誇っている。
多少物件を手放しても十分な管理物件の新規受託が見込めるから・・・不採算物件を整理した。
管理組合のこれからの心構えは?
ここからは、私の意見ですが
「人手不足、人件費高騰、不採算物件の増加・・・」これらの背景は、今後も変わらず、深刻化すると思います。
従って、管理会社が管理受託規模の拡大を求めて時代から、規模の拡大は犠牲にしても利益重視の管理会社が増えてくると思います。
とすると、ある日突然、管理契約更新辞退の申し入れを受けることがあなたのマンションにも起こるかもしれません。
そうならないため、そうなっても困らないために、管理会社に丸投げでなく、自主的運営を目指して、マンション管理組合、マンション管理会社、マンション管理士の3者が協力して運営を行うことが必要です。