マンション管理適正化法を改正へ

管理計画認定制度の概要

法改正の最大の目的は「老朽化対応」です。地方自治体にマンション管理への積極的な関与を促し、いわゆる「管理不全」の予防・改善を図ることを目的としています。その仕組みの概要は次の通りです。

 

①国が「基本方針」を作成します。マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項など6項目を定めます。

 

②各市区や都道府県はこの基本方針に基づき「適正化推進計画」を策定します。計画では、区域内におけるマンション管理の適正化に関する目標、管理の状況を把握するために自治体が講じる措置、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針といった事項を定めます。

 

③自治体の区域内のマンションの管理組合は、「管理計画」を作成し各知事らに認定を申請する。自治体は「管理計画」が国に定める認定基準に適合している場合、「管理計画」を認定し、管理組合に通知する。

 

認定基準の内容

認定基準の概要は、「管理の方法」「資金計画」「運営状況」などがポイントとなるようです。

 

①修繕その他の管理の方法が国土交通省令で定める基準に適合するもの

 

②資金計画が修繕その他の管理を確実に遂行するため適切なものであること

 

③管理組合の運営状況が国土交通省令で定める基準に適合するもの

 

④その他国及び自治体が定める適正化指針に照らして適切なのもの

自治体の積極的な関与を促す

適正化推進計画を作成する自治体は、現在一部の自治体が実施する「管理状況の届け出」など、管理状況を把握するための施策を設ける必要が出てきます。

 

また法案では、管理組合に対して助言、指導、勧告できる仕組みも盛り込まれています。

 

管理組合が作成する「管理計画」は5年毎の更新制度。計画に変更があった場合はその都度自治体に届け出る。認定・更新時には計画内容の調査を実施できることとしています。

 

計画に基づいた管理を行っていないと認めるときは、管理組合管理者に改善を命令できるようになっています。

また、命令に違反したりした場合は、認定の取り消しや、虚偽の報告を行った管理組合には30万円以下の罰金を科すことにもなっています。

 

今後、期待するもの(減税措置、資産価値UPの仕組み)

今回の改正案では、自治体による「適正化推進計画」の作成、管理組合による「管理計画」の作成のいずれも任意のようです。自治体も管理組合も作成しなくても罰則などはありません。

 

管理組合にとって「管理計画」を作成することがインセンティブとなるような仕組みが欲しいところです。

 

例えば、認定されたマンションの固定資産税や都市計画税が安くなるとか、中古市場においてプラスの資産評価が得られる仕組みを取り入れるとか。

 

そうすれば、管理組合員の意識も高まりよりよい管理を求めるようになると思います。