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仕事を休んだ時に使える制度

会社から休業を命じられた場合は休業手当金(労働基準法より)

会社都合で休業させられた場合に従業員に対して会社より支給されます。

これは労働基準法の26条に規定されている制度です。

休業事由が使用者の責に帰すべき場合に支払われなければならないとされるものです。

 

支給額は「平均賃金日額(※1)×60%以上×休業日数」です。

 

(※1)平均賃金日額とは、過去3ヵ月に支給された賃金を暦日数で割ったもの

 

使用者の責とは、次のような場合です。

  • 使用者の故意又は過失による休業
  • 仕事がない、製品が売れない、資金調達が困難など経営不振による休業
  • 生産調整
  • 監督官庁の是正勧告による操業停止
  • 資材の不足による休業
  • 会社の設備、工場の機械の不備・欠陥による休業
  • 従業員不足による休業
  • 親会社の経営不振による休業

今回のコロナに伴う自粛要請で休業させる場合は、厳密に言えば使用者の責となりません。

ですから、使用者に休業手当の支払義務はありません。但し厚生労働省は労働者に不利益とならないようにと行政指導しているような状況です。

 

今話題の雇用調整助成金とは、休業手当を支給する使用者(会社)を支援する制度です。後払いです。

 

実際のところは、4月30日段階で20万件以上の相談があって、2541件の申請があり、支給決定されたのはわずか282件だそうです。

 

支給条件は緩和され、必要書類は削減されたとは言え、ハードルはかなり高いようです。

 

中小零細企業では支給できずに解雇となるケースが多くなる(なっている)と思われます。

 

業務中や通勤中のケガで会社を休んだ場合は休業補償給付(労災保険より)

会社務めの人が勤務中に業務に伴う事故でケガや病気をして、会社を休んだ場合に支給されます。

通勤も業務も見なされるので、通勤途中のケガなどで会社を休んだ場合にも支給されます。

 

支給額は「平均賃金日額(※1)×80%×休業日数」です。

 

(※1)平均賃金日額とは、過去3ヵ月に支給された賃金を暦日数で割ったもの

 

療養補償給付もあります。

 

業務中や通勤中のケガなどの医療費などは自己負担なしで全額労災保険から支給されます。

健康保険で3割の自己負担を払った時も、申請すれば返金されます。

 

 

病気やケガで会社を休んだ場合は傷病手当金(健康保険より)

業務外での病気やケガで会社を休んだ場合に支給されます。

会社勤めの方が加入する健康保険制度により支給されます。

 

支給額は「平均賃金日額(※2)の3分の2」×休業日数です。

 

(※2)平均賃金日額とは、過去12ヶ月に支給された標準報酬月額の平均額÷30

 

自営業主やフリーランスの方は対象外です。

 

自営業主やフリーランスの方などは国民健康保険に加入します。

残念ながら、国民健康保険にはこのような制度はありません。

 

出産で会社を休んだ場合は出産手当金(健康保険より)

被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。

 

支給額は「平均賃金日額(※2)の3分の2」×休業日数です。

(※2)平均賃金日額とは、過去12ヶ月に支給された標準報酬月額の平均額÷30

 

これも国民健康保険にこの制度はありません。

 

出産育児一時金もあります。

 

妊娠4ヵ月(85日)以上の方が出産したときは、一児につき42万円が支給されます。

 

この制度は国民健康保険にもあります。内容も健康保険と同じです。

育児で会社を休んだ場合は育児休業給付金(雇用保険より)

1歳未満の子供がいる間だけです。

支給期間を延長する場合には1歳6か月または2歳まで延長できることがあります。

 

支給額は「平均賃金日額(※3)の3分の2」×休業日数です。←最初の6ヶ月間

7ヶ月以降は「平均賃金日額(※3)の2分の1」×休業日数となります。

 

(※3)平均賃金日額とは、過去6ヶ月に支給された標準報酬月額の合計額÷180

 

この制度も雇用保険加入者に限ります。自営業主やフリーランスの方は対象外です。

 

会社を退職した場合は失業手当(雇用保険より)

最後に会社を退職した場合は、いわゆる「失業手当」が給付されます。

 

但し勘違いしないでほしいのは、新たな仕事が見つかるまでの期間に国から支払われる「給付金」のことです。あくまで再就職を支援するための給付金なので、再就職を希望していない人は給付の対象にはなりません。

 

支給額は「平均賃金日額(※3)の50%~80%」×給付日数(※4)となります。

平均賃金日額の低い人ほど80%に近い%となります。

 

(※3)平均賃金日額とは過去6ヶ月に支給された標準報酬月額の合計額÷180

(※4)給付日数は退職理由と勤続年数と年齢によって決定されます。

 

退職理由が自己都合の場合は、最長で150日。会社都合の場合は、最長で330日となります。

そのほか、退職後3ヵ月は支給されないなど支給要件が厳しくなります。

 

ですから今回のコロナにともなう退職のような場合、退職するにしても自己都合でなく会社都合として退職すべきです。