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2020年年金改正法3つのポイント

コロナ問題に注目が集まる中、厚生年金制度をはじめとする年金制度の改正案が今国会で審議されます。可決されれば、2022年度から適用されます。ねらいは人生100年時代に備えて、厚生年金制度の支えて(加入者)を増やし、保険料収入を増やすことにあるようです。

①職老齢年金の見直し

在職老齢年金とは、60歳以降に会社で働き収入を得ながら、老齢厚生年金を受け取る制度です。もちろんこの間も厚生年金制度に加入しますので、保険料も支払ます。

但し、年金月額と報酬月額(※1)の合計額が一定額を超えると、年金額の一部が減額されたり、年金の全額が支給停止となります。

 

65歳未満の人の場合は、この合計額が28万円を超えると、超えた額の半分が年金月額が減額されて支給されます。65歳以上の人の場合は、合計額が47万円を超えると、同様に減額されたり、支給停止となります。

 

今回、65歳以下の人の場合の「28万円」を「47万円」に変更するというものです。65歳以上の人の場合は変更ありません。

 

ねらいは、65歳未満の人で年金が減額されるなら、フルタイムで働かないで、厚生年金制度に加入しなくてよい、週20時間未満などの短時間労働に抑えていた人がいました。

 

今後は、フルタイムで働いても減額されることは少ないから、働いて厚生年金制度に加入して下さい。支え手となって下さい。ということです。

②短時間労働者の適用拡大

週20時間以上30時間未満の短時間労働者の厚生年金制度への加入要件を緩和して、加入者を広げようとするものです。

 

現在、週20時間以上30時間未満の短時間労働者は従業員500人以上の企業のみ加入対象となっています。

これを、2022年10月からは、従業員100人以上の企業も加入対象となります。

さらに、2024年10月からは、従業員50人以上の企業も加入対象となります。

 

ねらいは、国民年金のみの人を減らし、厚生年金制度の支え手を増やすことです。

 

③繰下げ受給可能上限年齢の引き上げ

老齢厚生年金は原則65歳誕生月受給開始ですが、支給開始年齢を月単位で70歳誕生月まで繰り下げることができます。

これを75歳誕生月まで繰り下げ可能にしようとするものです。

 

受給開始を1ヶ月繰り下げると年金額は0.7%増額されます。

 

70歳誕生月まで繰り下げると、42%(0.7%×60ヶ月)

75歳誕生月まで繰り下げると84%(0.7%×120ヶ月)年金額が増えます。

 

ねらいは、年金受給開始年齢を遅らせることで、年金財政を安定させようとする趣旨です。

その他

◎繰上げ受給の減額率変更(0.5%→0.4%)

 

老齢厚生年金は、60歳誕生月から繰り上げて受給することもできます。この場合は1ヶ月繰り上げると0.5%減額されていました。これを今回は0.4%減額と減額率が圧縮されるそうです。

 

◎確定拠出年金の加入年齢の引き上げ

 

私的年金である確定拠出年金の加入可能年齢が引き上げられます。

 

・企業型確定拠出年金:65歳→70歳に

・個人型確定拠出年金:60歳→65歳に