思いもかけないことから裁判へ

おそらく、この2つのマンションに住む人々もこんなことになるとは、思いもかけなかったでしょう。

 

どのような経緯で裁判の被告となり、原告となったのでしょうか?また避ける手立てはなかったのでしょうか?

タラレバですが

もしこうしていたら、こうなっていたら、事故や手抜き工事は防げたかもしれません。

 

実情は把握できていないのであくまで仮設ですが、管理組合がもう一歩積極的に関わっていたら、状況は違っていたかもしれません。

 

少なくと、管理組合は組合管理に積極的に関わる必要があります。少なくと丸投げは危険です。

逗子市斜面崩落事故の発生経緯

事故は2020年2月に起こりました。

斜面擁壁上部の土砂が崩落し、通行中の女子高生が土砂に巻き込まれ死亡しました。

 

この斜面は市道から約7mの高さまで石積みの擁壁で補強されていて、擁壁の上は約8mの高さまで土砂がむき出しで、草や木が表層を覆っていました。

 

現地を調査した国交省国土技術政策総合研は、「擁壁に設置されていた水抜きパイプは乾燥していた。斜面崩壊の要因が水によるとは考えにくい」と説明しています。豪雨などが原因の災害ではありません。

 

京都大学防災研究所斜面災害研究センターは、土砂崩落が発生したメカニズムについて、「この斜面は比較的若い深海の堆積物が急速に隆起した丘陵だ。固結度が低いため、風化部分はもろくなり、崩れやすかったのではないか」と推測しています。

 

マンションの敷地は1968年頃造成地として造成され、2003年マンションが建築されました。当初のマンション開発業者が実施した地質調査結果で、03年当時、斜面の対策工事の必要性や風化による強度低下が指摘されていたとのことです。

 

現場は2011年土砂災害警戒区域に指定されました。2020年1月には県による2回目の地盤調査が行われていました。

 

そして、管理会社従業員は事故前日、敷地巡回時に崩落した斜面上部の地面に長さ約4メートル、幅約1センチの亀裂を発見して写真を撮影。同日中に管理会社担当者に連絡し対応を相談し、危険情報を共有していたそうです。

 

原告側はこうした状況から、事故が起きる可能性を予見できたのに、亀裂周辺やその直下区域への人の立ち入を禁止するといった注意義務を怠り必要な対策を取らなかった。

 

こうした経緯から、区分所有者全員には土地工作物責任違反、管理会社には善管注意義務違反による不法行為及び使用者責任、管理組合には管理会社に管理業務を委託している点から管理組合としても善管注意義務違反としての不法行為及び使用者責任が問われています。

 

一方、管理会社は、「土砂災害警戒区域に指定されていたことは把握していたが、崩落した斜面に対する専門的な点検業務は管理組合との契約に入っていない。毎月、目視では点検していたが、異常は見られなかった」とのことです。

 

土砂災害警戒区域とは

土砂災害警戒区域とは、土砂災害のおそれがある土砂災害防止法に基づき指定された区域のことで、“イエローゾーン”とも呼ばれています。

 

土砂災害の正確な発生時期を予測するのは非常に難しいため、現段階で土砂災害の可能性が予想される地域を土砂災害警戒区域として設けています。

 

土砂災害の危険性があると思われる区域の基礎調査を行い、危険性が認められると土砂災害警戒区域に指定され、土砂災害による被害を予想するとともに警戒避難態勢が整備されます。

 

土砂災害警戒区域と似た言葉として、“土砂災害特別警戒区域“というものがあります。土砂災害特別警戒区域とは、土砂災害警戒区域の中でも土砂災害が発生した場合、建築物の損壊や住民の生命に多大な影響を及ぼすおそれがあるとされる区域のことです。

 

土砂災害警戒区域がイエローゾーンと呼ばれているのに対し、こちらはレッドゾーンと呼ばれ、土砂災害警戒区域よりも土砂災害による危険性が高いとされているエリアを指します。

 

土砂災害特別警戒区域は、対策工事の実施や地形の変化などによって、土砂災害の危険性が低くなる場合があります。土砂災害特別警戒区域として指定する理由がなくなった場合には、範囲の変更や指定が解除される可能性があります。

 

また、過去に土砂災害がなかったからといって今後もないというわけではありません。基礎調査の結果によっては、家を建てた後に、その土地が土砂災害警戒区域として指定されるケースもあります。

 

土砂災害警戒区域との判断がされると、災害情報の伝達や避難が早くでき、土砂災害から地域住民の生命を守ることができるようハザードマップに追加され、住民に通知するなど警戒避難態勢の整備が図られます。

 

管理組合としてどこまでできるのか

以上が逗子市斜面崩落事故の発生経緯と裁判提訴の状況です。

 

さて、所有する敷地の一部が崩落する危険がある場合、管理組合としてどこまで事前に対応すべきなのか?できるのか?

 

区分所有者とては、土地工作物の所有者として責任を問われるのですが、事前にどこまで対応すべきなのでしょうか?またできるのでしょうか?

 

所有する敷地の一部が土砂災害警戒区域と指定されたらどうすればいいのでしょうか?

遠因は1960年代の造成に問題があり、2003年のマンション開発時点にも対策の必要性が言われていたことです。

 

斜面崩落を防止する工事対策をマンション単独の費用負担でできたものなのか?

行政との協力を模索すべきだったのではないか?

少なくとも日常的な点検体制を整備し、以上確認時には、立入禁止・通行禁止などの緊急対応など行政との連携体制を確立しておくべきだったのではないか?など

 

いずれにしても、管理組合(=区分所有者)は、工作物責任者として責任が問われる立場であることは、常に意識しておく必要はあります。無関心や丸投げは危険です。

京都の排水管改修工事の補修費用請求訴訟の経緯

京都にある29棟 654戸のマンションが2011年~2012年に約5億円かけて、給排水管の改修工事を行いました。

 

5年後、リフォームした住民から排水管の施工状況について指摘があり、管理組合は元請け会社に問い合わせたが、問題ないとの回答だった。

 

翌年5棟で実施された消防署による立ち入り調査で検査を実施した住戸全てで不備事項の指摘と是正指導を受けました。

 

そこで、工事の設計監理会社とは別の1級建築事務所に調査を依頼した結果、「排水管の区画貫通部に重大な欠陥がある」と報告されました。

 

2020年9月に改修元請け会社、設計監理会社などを相手として、補修改修費用3億9683万円と戸あたり6万円の慰謝料を請求する訴訟を起こしました。

 

元請け会社は「専ら設計領域の問題である」と主張し、

設計監理会社は監理業務は「重点監理」であり「不適正箇所を発見することは困難である」実際、重点監理で確認した範囲では特に問題は見当たらなかったと主張しているようです。

 

何故このようなことが

東京にある元請け会社と兵庫にある下請け会社、神戸の設計監理のNPO法人が関わったそうです。詳細は不明なのでわかりませんが、消防署による立ち入り検査で5棟全住戸で指摘があったことなどから、部分的な施工ミスとは考えづらいところがあります。

 

少なくと29棟の施工の内、ある棟から手抜き工事が始まったものと推測できます。

 

ひょっとするとですが、管理組合も設計監理会社に任せっきりだったのかもしれません。

このことで、設計監理会社の監理もあまくなり、元請け会社も下請け会社も内部チェックが甘くなったのではないでしょうか?

 

ここも、管理組合がどこまでチェックできるのかとい問題はありますが、丸投げ、任せきりでなければ、緊張関係が生まれ手抜きの発生を抑制できたかもしれません。