マンション管理会社の値上げと管理辞退

ダイヤモンドオンラインの記事によれば、2019年頃には、デベロッパー系の管理会社が管理委託費の値上げを要求するケースが多く見られました。

 

しかし、最近では独立系の管理会社も値上げを申し入れるケースが増えているうえ、以前にも増して強気の値上げ要求が目につくようになっています。

 

中には、いきなり契約解除を通告してくる管理会社も少なくないとのことです。

 

何故なのでしょうか?

 

契約を解除したい

例えば、「管理組合から過剰な要求がある」「毎日のように理事や区分所有者から電話がかかってくる」「モンスタークレーマーがいて手に負えない」など、管理会社の手に余る状況になっているようなマンションが該当します。

 

管理会社にしてみれば、受け取っている管理委託費以上の負担があり、その対応に充てているフロント担当者などのリソースを、できれば別の管理組合に向けたい、と思うのは当然でしょう。

 

最近は、管理員・清掃員だけでなく、フロント担当のなり手も不足しがちです。

 

こう言われた管理組合はどうすれば、いいのでしょうか?

 

別の管理会社に変更したとしても、数年の内に同じ事が繰り返される可能性が高いです。そして、いつの日か引き受け手がなくなります。

 

管理組合として、現状を正確に把握して、正すべきは正さないといけません。

管理会社に求めるべきことはどこまでか?管理組合として自分たちでやるべきことはなんなのか?これらのことを話し合うことから始めなければなりません。

 

そのさい、マンション管理士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

ぜひ、管理委託費の値上げをお願いしたい

管理会社としては、最低賃金の上昇などを受けて利益が圧迫されているという実情にあることから、値上げをしてもらえないと本気で立ち行かなくなる管理組合に対しては、かなり強気で臨んできます。

 

「値上げを受け入れていただけないなら、契約解除も視野に入れざるを得ない」と。

 

一方で、最低賃金などがどんどん引き上げられているにもかかわらず、「管理会社から値上げの相談などは一言もない」というところは、管理会社にとってもうけの多いおいしいマンションである確率が高いです。

 

こういった場合には、管理組合としてもある程度の値上げは、認める方向で検討すべきです。

 

但し、他の管理会社にも見積依頼をしておき、相場感は持って置く必要があります。

 

またこの際、管理組合側として管理会社に対して改善点なども要望すべきです。

 

バランス感覚を持った対応

管理会社は営利企業であるため、もうけがなければ当然離れていってしまいます。

 

そのため、管理組合も「管理会社にもある程度もうけさせる」という考えを持っていることが大切です。

 

 あくまでも管理委託費は適正な金額で契約しつつ、たとえば大規模修繕工事は他社との相見積もりにするが、小修繕工事は管理会社に発注するなど、バランス感覚を持った付き合い方をしていくべきです。

 

しかし、管理会社に100%おまかせで、なんでもかんでも言う通りにすることは、いけません。適度な緊張関係を保つことが大事です。

 

管理会社の“もうけ”も考慮しながらバランス感覚を持った管理組合を目指す

 

外部の専門家を活用することも選択肢の一つ

本来、管理組合や理事会は「将来、こういうマンションを目指そう」というビジョンを持って、継続的に運用できる仕組みを作るべきでです。

 

その仕組み作りや支援を外部に求め、マンション管理士などの専門家を活用することも選択肢の一つとして考えるべきです。

 

知識・経験もなく、仕事を抱え、なにより時間のない区分所有者たちで、このようなことを考え、継続的に取り組むことは、かなり困難なことです。

 

 国土交通省は「マンションの管理の適正化に関する指針」において、「外部の専門家の活用」を可能とする改定を行い、それを受けて「外部専門家活用ガイドライン」を公表しています。

 

 ガイドラインは「区分所有者の高齢化などによる理事や役員のなり手不足」や「マンションの高層化・大規模化などによる管理の高度化・複雑化」といった、管理組合が抱えるさまざまな課題に対し、外部の専門家を活用することで解決策を見いだすことを目的に制定されたものです。

 

 

 いつまでも住みやすいマンションを維持し、しかも資産価値をアップする。

そのために、管理組合や理事会は積極的に外部の専門家を活用する。

 

管理会社に“食い物”にされることなく、かつ管理会社が適正な利益を得ることも考慮できる、バランス感覚のある組織を目指していくことがとても大事です。

 

外部の専門家を活用することも選択肢の一つにする