大規模修繕工事融資分析(施工状況)

これは、住宅金融支援機構による共用部分リフォーム融資を利用した大規模修繕工事についての施行内容に関する分析結果です。(2013年~2018年の1,550件)

都道府県別融資実行件数

首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の合計件数は1,214件で78.3%を占めます。

 

関西圏(大阪、兵庫、京都)の合計は96件で6.4%となっています。

 

圧倒的に首都圏での融資実行件数が高いことがわかります。分譲マンションのストック数比率は約53%ですから、それ以上に偏っていることが分かります。

 

首都圏には、中小規模の分譲マンションが他地域より多いことが原因と思われます。


築年数別分布と総戸数別分布

築年数別では、築10年~14年が305件と最多です。おそらく1回目の大規模修繕工事と思われますが、この時点で、修繕積立金の積立不足が発生しているマンションが一定数あるものと推測されます。

 

その原因としては、総戸数別では、20戸~29戸が最多で372件と50戸未満が1,135件と全体の73.2%を占めています。すなわち、小規模マンションの場合スケールメリットがなく、修繕積立金不足が起こりやすいからだと推測されます。

 

また、築年数別で次に多いのは、築25年~築44年の範囲のものですが、これは第2回目、第3回目の大規模修繕工事の実施時期については、マンションの状況に応じてバラツキがあるため分散しているものと推測されます。


工事実施項目の傾向

外壁塗装等工事、鉄部塗装等工事、屋根防水工事、床防水工事、建具・金物等工事が5大工事項目となっています。


工事種別と築年数

躯体系工事においては、1回目の工事は10~14年にピークがあり、長期修繕計画どおりに工事が実施されていると推測できるが、2回目の工事の実施ピークがゆるやかで、年数も広範囲に広がっていることから、実施が後ろ倒しされている傾向が推測される。

 

配管系工事も、30~44年の間に分散されており、長期修繕計画より後ろ倒しされている。

 

昇降機工事については、30~34年がピークで長期修繕計画どおりに実施されている。