責任施工方式と設計監理方式

大規模修繕工事の発注先は大別すると

 

①管理会計②ゼネコン(総合請負会社)③専門工事会社の3つがあります。

 

かつては、全てを管理会社に任せ、管理会社が建物設備診断から設計・工事施工・工事監理までまとめて請け負うことがほとんどでした。しかし、全ての工程を一括発注してしまうことで、競争原理が失われ、どうしてもコストや工事内容のチェックが甘くなる傾向がありました。

 

そこで、広く採用されるようになったのが、「責任施工方式」と「設計監理方式(分離方式)」という2つの発注方式です。

責任施工方式とは

責任施工方式では、管理会社でなく、管理組合が自ら工事施工会社を探して、比較して選定する。

競争原理が働き、費用を低く抑えることができることが可能だが、管理組合の負担も相当大きくなる。

 

建物設備診断から設計・工事施工・工事監理は全て、工事施工会社に任せるため、経験知識と十分な時間のない管理組合では、結果的に、工事施工会社に対する十分なチェック機能が働かず、費用面でも工事品質面でも工事施工会社の言いなりになる傾向にあります。

 

設計監理方式(分離方式)とは

設計管理方式では、設計と施工監理を設計会社や管理会社に、工事施工を施工会社にと別々に(分離して)発注します。診断も設計会社や管理会社が担当するケースが多いです。

 

設計会社や管理会社は、建物設備診断の結果を基に修繕設計を立て、「工事仕様書」を作成します。

6施工会社は、業界紙などで公募し、書類審査を通った5社から8社共通の工事仕様書に基づいた見積を依頼し、その額やプレゼン審査によって、比較選定します。

 

この方式だと設計会社などに支払う費用は発生するが、工事内容や費用のチェックに専門家の目が行き届き、工事施工費用の低減が期待できます。

プロポーザル方式とは?

工事に対する提案内容をより重視したい管理組合に採用されているのが、プロポーザル(提案力比較)方式です。

 

プロポーザル方式では、設計会社や管理会社は「工事仕様書」は作成しません。

設計会社や管理会社は「修繕工事要望書」を工事施工会社に提示して、「工事仕様書」は工事施工会社が各々独自に作成し、見積提示します。

 

結果、工事範囲・内容・見積額に大きな差が生じて、工事施工会社の経験が発揮されます。

当然、提案内容の見極める側にも、より専門的な知識・経験が求められます。