管理費等滞納者への対応?

管理費や修繕積立金等を滞納している区分所有者が何人かいて困っています。

 

マンション管理を適正に維持していくために、管理費等を確保しなくてはなりません。

 

滞納が発生した場合、一般的には電話、自宅訪問、督促状の送付といった順序で督促を行うのが普通です。

 

この手順を踏んでも、なお支払わない場合には、法的処置を検討することになります。


遅延損害金

遅延損害金とは、決められた期日までにお金を支払わなかった場合に、そのペナルティとして支払うことになる損害金のことです。

 

管理規約に定められた徴収期日までに管理費等を納付しない場合、その区分所有者に対し、ペナルティーとして遅延損害金を請求することができます。

 

管理規約に定めない場合でも、民法により5%の遅延損害金を請求することは可能ですが、管理規約に遅延損害金の規定を明記しておくことが望ましいでしょう。

 

遅延損害金の金額は計算しやすいよう年利14.6%=日4銭と定めることが多いようです。

滞納者に対してペナルティーがなければ、期日を守らなかったり、支払能力があっても故意に遅らせたりする心配があります。

 

遅延損害金の規定は、滞納者を出さないようにするための抑止効果になります。また、滞納者に対して訴訟になった場合に、相談料や弁護士に対する報酬等の経費がかかります。

遅延損害金を請求し、その諸費用に充当することで、余計なマンションの支出をなくすことができます。

 

1ヶ月でも遅れた場合厳格に遅延損害金を請求するマンションもあれば、悪質な常習者に対してのみ請求するマンションもあります。

遅延損害金の適応に個人差があっては不公平感につながりますので、管理組合で運用規定についてガイドラインを定めておくことが大切です。そして厳格に運用する必要があります。

 

法的処置

内容証明郵便の送付

 

内容証明郵便とは手紙の一種ですが、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便株式会社が証明する制度です。 

 

この目的は、未納分を支払いなさいという法律上の催告請求の事実を明らかにし、未納者が請求されたことがないという主張を防ぐためです。

 

支払督促

 

訴訟を起こす前の簡便な法的手段で、管轄の簡易裁判所に支払督促申立書等を提出します。

裁判所が申し立てに基づき、滞納者に対し支払督促を発付します。

 

相手方に送付されてから2週間経過しても異義申し立てがない時は、さらに支払督促に仮執行の宣言を付けてくれるよう申し立てします。

この決定が出れば、強制執行ができます。

但し、相手方から異義の申し立てがあった場合は訴訟となります。

 

少額訴訟

 

債権額が60万円以下の金銭支払請求に限り利用でき、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に訴状を提出します。

 

原則として、1回の期日で審理を終了し、口頭弁論終結後、直ちに判決が言い渡されます。

申立料は、訴額の1%と低額です。

 

訴訟

 

訴訟は最後の手段です。

ただし、管理費等の未納金額と裁判費用とのバランスを十分検討する必要があります。

 

また、訴訟については、弁護士等の専門家に相談して進める必要があります。

 

先取特権

 

区分所有法7条は、管理費等の債権について、先取特権を認めています。

すなわち、管理費等の債務のある区分所有者の動産及び不動産の競売の売却代金から優先的に弁済を受けることができます。

 

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区分所有法7条(先取り特権)

区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき、他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。

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区分所有権の競売請求

 

管理費等の未納が多額かつ悪質で、前述の方法で事態の改善が困難な場合は、区分所有権等の競売を請求することも可能です(区分所有法59条)。

 

この場合も、弁護士等の専門家に相談して進める必要があります。

 

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区分所有法59条(競売請求)

第57条第1項に規定する場合において、第6条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもって、当該行為に係る区分所有者の区分所有権の競売を請求することができる。

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早期に毅然とした対応が必要です!

 

いずれにしても、早期の対応が必要です。

また基本的な督促手順は、管理費・修繕積立金などの使用細則で明文化しておくことが大事です。