消火設備(4)

避難設備について見ていきましょう。

誘導灯設備

■設置基準

 

誘導灯は火災、震災時に、建物内にいる人たちを、安全・敏速に避難させることを目的とします。集合住宅では、消防法施行令第26条により地階、無窓階、11階以上の部分に設置することとされています。


■種類

 

誘導灯の種類は、その設置目的により、避難口誘導灯廊下通路誘導灯階段通路誘導灯に分類され、各誘導灯は防火対象物の種類、設置場所の延床面積、設置場所によって、大きさの区分がA級、B級、C級と3種類あり、マンションにおいてはC級以上を設置する。

 

従前の誘導灯の形状は、大型・中型・小型の3種類に分類されています。旧式の誘導灯は内蔵している照明器具が直管蛍光灯なので、大きな横長形状の誘導灯となります。

 

対して、コンパクト形の誘導灯は寸法が小さく、C級は10cm角、B級は20cm角、A級は40cm角の大きさとなっており、意匠的にすっきりとしたデザインとなっています。

 

また、停電時には、内蔵する蓄電池に切り替わり20分以上点灯できなければなりません。

 

■コンパクト型誘導灯

 

コンパクト形誘導灯は従来、冷陰極管というランプが使用されていました。冷陰極管はランプ寿命が40,000時間以上と長く、消費電力は蛍光灯と比較して1/3程度まで削減できており、かつ器具を小型化できるため広く普及しました。

 

消費電力の削減、ランプ交換頻度の削減を図ることができ、誘導灯のランニングコストは大幅に削減されました。さらに、現在は冷陰極管の代替として、LED照明による誘導灯が普及しました。LEDは冷陰極管と同等以上の寿命を持ち、かつ冷陰極管よりも消費電力が小さいため、CO2の削減など、省エネルギーに貢献できることが注目されています。一部の照明メーカーでは冷陰極管による誘導灯の生産を中止し、全ての誘導灯をLED誘導灯に切り替えています。

 

■耐用年数と価格

 

耐用年数は20年程度、価格は35000円程度です。

避難器具

避難器具は、階段、廊下等が火災で使用できなくなったときに外部に避難させる設備で、避難はしご、緩降機、すべり台、すべり棒、避難橋、避難用タラップ及び救助袋、避難ロープがある。


■設置基準

 

設置基準は、消防法施行令第25条の2に定められており、マンションでは設置階によって器具の種類が異なります。

地階 避難はしご、避難用タラップ
 2階  すべり台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、すべり棒、避難ロープ、避難タラップ
3階 すべり台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、避難タラップ
4階又は5階 すべり台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋
6階以上の階 すべり台、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋

■耐用年数と価格

 

耐用年数は、25年~30年程度、価格は、15万円~18万円です。

 

非常用照明設備

火災や地震、その他の災害による停電時に、避難通路の照度を確保して安全に避難が行えることを目的に設置する。

■設置基準

マンションの住戸部分には設置が免除されるが、共用部については、階数3以上で延べ面積500㎡以上の建物には設置義務がありますので、居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路に非常用の照明設備を設けなければなりません。また、停電時には30分以上点灯できる蓄電池を持たなければならない。

 

■耐用年数と価格

耐用年数は、15年~20年程度、価格は、5万円前後です。