管理会社変更VS担当者変更どっちが正解?


管理会社を変更したいのだけれども・・・

【理事長】最近どうも管理会社の対応が遅かったり、対応内容がマンネリ化して、不満なんだ。また、修繕対応などの費用もどうも高い感じがするんだよ。

【理事長】周辺のマンションでも管理会社を変更しているところがあるみたいなんだが・・・

【管理士】確かに、最近は管理会社を変更するケースは多いようです。ですが、管理会社を変更するとなると、新たな管理会社を選定したり、総会承認を得たり、などそこそこエネルギーを必要となる作業です。

【管理士】せっかく、管理会社を変更したのに、相変わらずであったり、むしろ対応が悪くなったと住民からクレームが出たりするケースも少なくなくあります。

 

管理会社を変更する前に他に方法はなか

管理会社を変更する理由として、担当者に不満があったり、管理委託費をより安くしたいということがあるようです。また逆に委託費の値上げを要求されて、管理会社の変更を考えるケースもあります。

 

管理委託費の値下げの為に管理会社の変更を考えるのであれば、その前に他管理会社から参考見積をとってみて、それをもとに価格交渉してみてはいかがでしょうか?

 

担当者に不満があるのであれば、担当者に直接改善を求めたり、担当者の上司に相談したり、担当者の変更を求めてみたりしてみて下さい。

 

そのようなことをしてみたけれど、相変わらずであったり、むしろ対応が悪くなった場合には、それこそ管理会社の変更を考えてみましょう。

 

 

私がこう言うのは経験から、管理会社の担当者による違いは大きいですが、管理会社の違いはそれほどないと思うからです。

 

 

失敗しない管理会社変更のために

管理会社の変更は、好ましくないと言っているのではありません。担当者の問題でなく、管理会社の営業方針や組織体制、例えば、売上拡大至上主義や担当者の担当物件数が多すぎて、対応に手が回らない状態にある、担当者が頻繁に交代するなど管理会社の問題であるケースもあります。

 

ただ、多くの労力を掛けて、変更してみたけれど、あまり管理状態は変わらない、むしろ悪くなったとして、住人から理事会に対する非難の声があがったりすることも十分に考えられます。

 

そして、管理会社よりも管理組合側の管理に対する関心度合い・無関心度合いが管理品質に大きく影響するとおもっているからです。

 

 

ステップbyステップで

管理会社の変更を検討する前に、担当者への改善要求や担当者上司に相談することから始めてはどうでしょうか?

 

ようするに、ステップByステップで、1段階づつ対策を進めていき、それでも、改善が見込まれない場合に、管理会社変更を検討されるのが良いかと思います。

 

 

ある管理組合での事例

新しい理事長が就任して、理事会運営を積極的に行うようになりました。管理会社は竣工依頼変わることなく同じ管理会社に委託していました。担当者も5年近く担当していました。

 

日頃から担当者の対応に不満を持っていた理事長は、漏水事故発生の対応の不手際についに我慢の限界が来て、理事会メンバーに管理会社変更の提案を行い、一部反対の声もありましたが、総会承認も得て、新しい管理会社に変更しました。

 

変更後1年間は、理事長職を留任して、新しい管理会社と組合運営を共に行いました。

 

その後、理事長は交代しました。新しい理事長は多忙な方で組合運営に関わることも少なくなり、他の役員も積極的に関わることなく、組合運営が進行していきました。

 

そうするといつのまにか、前の管理会社とそれほど変わらない状態となり、管理会社変更に反対の声を上げていた人々からは、変更する必要はなかったのに・・・

 

というような声も聞こえるようになったとのことです。

 

失敗しないために

管理組合側が組合運営に積極的に関わり、管理会社にも緊張感をもって仕事をしてもらうこと。そうすることで、管理会社側の問題として見えていた部分も改善されることが多いこと。

 

積極的に関わることは、継続しつづけなければならないこと。そうでなければ、管理会社を変更しても、また同じ状況に陥る可能性が高い。

 

そして、管理会社変更を検討する場合は、一気に事を進めるのでなく、担当者変更を試みるなど段階を踏んで行うことが大切です。

 

管理会社を変更する場合の一般的手順は下記の通りです。また、事前に管理委託契約書の内容も確認しておいて下さい。

 

管理会社を変更する手順

  1. 理事会で管理会社変更の方針を立てる
  2. 区分所有者へ理事会方針の情報提供を行うとともに、アンケートで意見集約をする
  3. 新しい管理会社を選定する(複数候補よりプレゼンなどを経て1社に絞る)
  4. 住民向けに理事会方針、新管理会社紹介などの説明会を実施する
  5. 臨時総会開催で管理委託先変更の決議を行う
  6. 現管理会社に解約通知を行う
  7. 新管理会社と契約
  8. 旧管理会社と新管理会社の業務引継をしっかり行わせること。組合も関与することが大事です。

管理委託契約書確認

現行管理会社との契約書の契約解消の条項を確認して下さい。

 

契約を解消するには、合意で解約する「合意解約」、契約の規定に基づいて解約する「約定解除」、相手方の契約違反による「法定解除」の3つがあります。

 

もし管理会社の承諾なければ契約解除できないなど、不平等な契約内容があれば、まず変更の申し入れを行います。

 

「約定解除」については、「マンション標準管理委託契約書」に準じて契約書が作成されていれば比較的簡単です。管理組合の総会で解約決議し、3ヶ月の猶予期間を付けて通告すれば、解約できます。

 

特に理由を示す必要もありません。

 

但し、新管理会社への引継事務に関しては、新管理会社も含めてしっかり打合せをする事が大事です。

 

StepByStep

結論としては、段階を踏んで管理会社変更を検討することが大切です。

 

より良い管理組合運営のために

管理会社を変更してみたけれど、前と変わらない、前よりひどくなったと言われないために、もっとも重要なことは、管理組合側の組合運営に対する関心度合いであり、継続的に積極的に関わっていくことが必要です。

はじめの一歩

組合運営に関してどんな問題点や課題を感じているのか、理事会で話し合ってみませんか?