マンションの終活(出口戦略)


【理事長】うちのマンションも築35年目となったよ。あと15年もすれば築50年だよ。

【管理士】そうですか?そろそろマンションの終活の検討も始めないといけませんね。

【理事長】私も65歳だから、15年後は80歳。まだ生きているかな。マンションはどうなっているでしょうかね。

【管理士】「どうなっているか」ではなくて「どうするのか」「どうしたいのか」ですよ。

 


3つの出口戦略

マイホームを買う事は、人生で最も大きな買い物です。買う時は、将来の展望をいろいろ空想してテンションもMAXでしょう。でも、買ったマンションの50年後や60年後のあり方を考える人は、殆どいないでしょう。

 

一戸建てであれば、自分自身の判断だけで、将来に向けて臨機応変に対応できるのですが、区分所有となる分譲マンションでは、自分ひとりだけでは、どうにもなりません。マンションに暮らす、世代や利害関係の異なる多種多様な人々の合意が必要ですが、簡単ではありません。

 

出口戦略がはっきりしないまま、マンションを保有しつづけることは、大変大きなリスクとも言えます。

 

◎マンションの終活=3つの出口戦略

 

①建て替え?(1500万円から2500万円/戸)

②長寿命化?(500万円/戸~1500万円/戸)

③取り壊し?(0万円/戸~250万円/戸)

 

自分の住む分譲マンションを最終的にどうするのか?

 

一般的に、マンションでは、12年~15年毎に大規模修繕工事が必要となり、3回目の大規模修繕工事を迎える頃には、出口としての方向性を見定める必要が出てきます。


建替えはあり得るのか?

1981年6月以前の旧耐震基準で建てられて分譲マンションが2014年時点で106万戸も存在しますが、2016年4月時点で建て替えが実現できたのは、211件(約1万7千戸)と圧倒的に少ない現実があります。


長寿命化(100年マンション)

建て替えが困難な中、長寿命化を施し、100年以上住み続けるという選択肢があります。但し、建物の外側だけ、綺麗になっても、部屋の中の設備が昔のままというわけにはいかない為、結構負担は大きくなります。

 

 


第三の道(敷地売却)

第3の道として、建物1棟ごと売却する。または、建物を取り壊して、敷地を売却するという出口戦略もあります。

 購入者自身の一代限りの不動産と考えれば、合理的な仕組みです。

 

 


空き家化と高齢化

建て替えにしろ、長寿命化にしろ、今後も増え続ける新規分譲マンションと既存マンションにおける空き家化さらには、住民の高齢化という背景も考慮しながら、出口戦略を考える必要があります。

 

 


マンション建替え円滑化法

2014年12月に施工された「改正マンション建替え円滑化法」で、旧耐震・高経年マンションの「終活」に大きな影響を与える重要な制度が創設されました。

 

耐震性が不足するマンションの敷地と建物を管理組合の特別決議でデベロッパーなどに一括売却できる仕組みです。

 

 


はじめの一歩

現状を把握することから始めて下さい。

 

・マンション内に住む区分所有者数と賃借人数の把握。

・マンション外に住む区分所有者数と現住所と連絡先の把握。

・区分所有者の年齢や同居する家族構成。

・空き家状態となっている住戸数。

 

ここから、10年後、20年後のマンションに住む人々の状況がなんとなく見えてくるはずです。